田中家のリリーちゃん
 「かわいい!」散歩中、すれ違う人のそんな呼びかけに、 一回一回足を止めて愛想を振りまくのは、こぼれ落ちそうなほど大きくまん丸い目をした 1匹のシーズー。大阪市東住吉区の田中由美子さん宅に暮らす「リリー」は、町のアイドルとしての自覚十分だ。
 顔は真っ白、耳はブロンド、とシーズーにしては少し変わった柄のリリーは、生まれた当時鼻がふさがっており、 目も左右違った色をしていたことから、なかなかもらい手が見つからず、生まれた知人宅より田中家に引き取られた。
 由美子さんは、リリーが11歳の時に受けた乳腺除去手術の際の思い出が頭を離れない。「高齢での手術でしたが 、体力的には問題ないと獣医師から言われていました。にもかかわらず、術後リリーは危篤状態に陥ったんです」 病院から緊急連絡を受けて駆け付けた家族は、必死の思いでリリーの名を叫んだ。すると自分を呼ぶ声の先に家族の 顔を認めたリリーは安堵の表情を見せ、奇跡的に息を吹き返したんだそう。
 「家族と離れた不安が危篤となった原因では 」とは獣医師の後日談。リリーと家族との強い絆をうかがわせるエピソードだ。